隣の席の五十嵐くんは。

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「俺は……、長谷見が寝てたからまだ残ってた」 「うん?……はっ。顔に落書きとかしたの!?おでこに肉とか書いてないよね!?」 顔をぺたぺた触るけど、手にインクは付かないみたい。 油性だったら話は別だけど。 「してないっつーの」 私が鏡を取り出したのと、五十嵐くんのその返事はほぼ同時だった。 あ、本当だ。 肉って書かれてない。 肉以外も書かれてない。 「ただ、寝顔可愛いって思ってただけだから」 ……理解するのに、少し時間がかかった。 脳内よりも、体はずっと正直に反応をしたらしくて、鏡の中の私は真っ赤な顔をしている。
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