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「マナミ?…っ…」
「やだ違うわ、誤解よ!何も怒られてなんていないから」
「怒られていない?……なんだ…そうか…」
笑いながら答えたマナミにザイードは堅い表情を崩した。
ホッとしながらもザイードは後ろにある厩舎を見る。
「じゃあさっきの大声はなんだ?」
「ああ、あの大声ね。それが……」
愛美は言ってもいいものか悩みながら口を開く。そして、事の経緯を話すと母が発した言葉をザイードに伝えた。
ザイードは愛美の話を聞いてゆっくりと目を見開いた。
「……守る…」
「うん」
「そう言ったのか母が……」
「うん」
安心した笑みを浮かべたザイードに愛美も嬉しそうに返す。
ザイードは静かに呟いた。
「……“母親の気持ちは母親にしかわからない”……か…確かにそうかもしれないな……」
ザイードは自分の言葉に黙って頷いた愛美を見つめる。
「そうだな……変えていかなければならないな……如何に長く受け継がれていたとしても……不必要とあらば、変えて行かねばならない……」
ザイードはそう言葉にして前を見つめる。
腕は愛美の肩を抱いたままだ。
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