番外~草原の花咲く丘で…~(後編)

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・ ヤギの群れから一番離れた遠く。そこに一匹の仔ヤギが立ち往生している。 ザイードと叔父に棒で追われる度に、その仔ヤギはちょこちょこと方向を変えては逃げ回っていた。 「はあっ…ほんとに言うこと聞かない奴だ」 尻を棒でつつかれた仔ヤギは、助けを求めるように一目散に群れの元へ駆け寄ってくる。 手前で散らばるヤギを集めながら小屋へやって来たザイードは思わずそう溢していた。 その様子に笑った愛美に気づき、馬で駆けてきたザイードは動きを止めた。 母親が手作りした民族衣装を身に纏った愛美にザイードは一瞬目を見張る。 そして嬉しそうに笑顔を見せていた。 「あの牝ヤギ以外は向こうの柵へ連れていって」 「ああ、わかった」 馬から降りたザイードにラティーファは次の仕事を言い付ける。 「マナミはその桶を持って付いてきて」 「あ、はい…!?っ…」 慌てて目の前を通り過ぎようとした愛美の腰をザイードの腕が掴まえていた。 グイッと引き寄せた愛美の耳元でザイードは囁く。 「肌の露出は少ないが…その姿もたまらなく可愛い……」 「──……」 愛美のうなじにボソリと熱い息が当たる。 愛美は真っ赤に染まっていた。 二人きりならまだしも義理の母や親戚がいる手前だ。 直ぐに愛美を手放したものの、ザイードは藁の束でラティーファに尻を叩かれていた。
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