番外~草原の花咲く丘で…~(後編)

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・ 「マナミは仔ヤギに乳をあげず、母ヤギ全部の乳を搾る気かしら」 逆にそう問われ、愛美はえっ?と戸惑った。 ラティーファはそんなマナミを笑いウインクする。 「今のは冗談よ。でも今日搾るのは三頭……明日も三頭……」 「………」 「毎日、三頭の母ヤギを選んで乳を搾るの。……特別な何かがない限り、三頭だけ乳を搾ってその恵みをあたし達はいただく……それ以上の搾取はただの“無駄”でしかないわ……」 ラティーファは後ろで話を聞いていた愛美を振り返る。 「じゃあ、マナミにはこの子の乳を搾ってもらおうかしら」 そう語ったラティーファの言葉に愛美の顔は自然と頷いていた。 毎日、必要な分だけを生き物からもらう── “もったいない”なんて言葉がありつつも、日本には沢山の無駄がある── だからこそ、捨てられる物も溢れているというのに……。 「マナミ? 準備は出来たかしら?」 「あ、はいっ…」 考え込んで立ち竦む愛美にラティーファは声を掛けた。 「この子なら搾りやすいと思うわ。ほら見て……」 ラティーファはそう言ってしゃがんだ愛美に母ヤギのお腹を見せる。 その母ヤギの乳はパンパンに張り、乳頭の先からは白いミルクが雫となって滴っていた。
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