番外~草原の花咲く丘で…~(後編)

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・ ナーセルの居場所を知ったラティーファは普通に「あら、そう」と普段と変わらぬ様子で頷き厩舎へ歩いて行く。 ザイードはそんな母の背を目で追うと愛美の元へ駆け寄った。 「……あ、…ザイードっ」 ゼイゼイ息を切らしながら、愛美はザイードに笑顔を向ける。 自分を見上げる愛美のその表情を不思議に思いながらザイードは直ぐに馬を降りていた。 「どうしたっ…母に何か言われたかっ…」 転ばぬとも限らぬ坂を慌てて歩く愛美の肩を抱き止めて、ザイードは愛美を心配そうに覗き込む。 「ええ…あのっ…言われたって言うか…」 「……っ…叱られたのだな…っ…」 「え?」 愛美は思いきり間の抜けた表情でザイードを見つめた。 とても必死なザイードに愛美は疑問顔を向けている。 ザイードはまるで責めるように問い詰めた。 「何を言われた?…ああ、違う。そうじゃないな…大丈夫だ、あまり気にするな…言葉は強いが後は引かない母だ……っ…怒っていても直ぐに忘れる。あまり気に病むな…」 「………」 しどろもどろになってそう語る。身振り手振りで愛美を元気付けようと必死なザイードのその姿に愛美の目は点になる。 そして── 「……ふっ…」 愛美は思いきり顔をニヤケさせ吹き出していた。
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