「Love is cruel,Time is ruthless」

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 宇宙空間における物資の運搬はロケットによるものだが、それでは運搬コストが非常に高く、また、ロケット燃料による大気汚染や、爆発事故などのリスクが伴う。そこで実用的な技術開発として、軌道エレベーター開発案が持ち上がった。だが、静止軌道まで約三万六千キロの距離に対して、ケーブル自身の重さと、それに取り付ける昇降機の重さに耐えうる素材がなく、理論的には可能でも技術的には実現不可能な代物だと考えられた。 しかし、二十世紀の末頃、ナノテクノロジーの発展により、軽くて強度の高いカーボンナノチューブ(炭素によって作られる蜂の巣状の構造が管になった物質)やグラフェン(カーボンナノチューブと同様の炭素同素体)が開発され、軌道エレベーター施工案が現実味を帯び、遂に国際的開発プロジェクトが発足した。  それが国際協力開発機関であるISEDO。  科学理論や科学技術の分野の各国の優秀な人材が結集したシンク・タンクでもある。そして、所属の研究員たちは童話のジャックと豆の木から拝借した軌道エレベーターの愛称でもある、「ビーンストーク(豆の木)」という名で自らの組織を呼んでいた。  そのビーンストークの主要メンバーである科学者兼技術者のモリス・トンプソン博士が、何の前触れもなく、何の連絡も残さないまま、失踪。     
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