おかあさん!タクシーでディスカウントストア行きますか?

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つまり衛生面(というよりは精神衛生上)よろしくないということらしい。そのことでわたしはよく母と口論になる。 「こんな宿六、さっさと別れればいいのに。すくなくともわたしの旦那ならイヤ」 しかし母には特別な愛着があるらしく離婚する予定はないらしい。 さっぱり理解できない。 苦痛をかみ殺して価値観の違う相手と一緒に暮らしてもお互いに不幸なだけだ、というのがわたしの結婚価値観である。 とにかく財布のひもを握らせると家計が破綻するのでやむを得ず母が台所を支配している。ただ、酒の量は父親の要求をすべて呑んでいる。そうでもしないと、今度はギャンブルで身を持ち崩すのだ。朝から晩までおとなしく飲んだくれている方が気楽だ。 さて、母親が30年間勤めあげたパン工場を定年退職して年金生活に入ってから諸問題が雨後の筍のように発生し始めた。 まずは健康問題だ。母親の家系は心疾患を抱えていて、本人も不整脈をわずらっている。立ち仕事するのもしんどいらしく、日中はほとんど横になっている。歩くのがやっとという母親を支えているのは車だ。交通手段の乏しい田舎町で通院や買い物に活用していた。     
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