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「はは、確かに。アイツの女癖は酷かったからな。それに扱いもサイテー野郎だった。どれだけの女を騙してきたんだって話だよな」
「でしょ。だからジゴウジトーク」
愛美はやはりからかうような口調で返すと、顔を綻ばせ草刈と一緒になって小声で笑った。
高島浩介の女癖の悪さは周囲の知る所であり、高島も生前から認めている自他ともの公式の見解。だが、愛美と草刈は高島とは幼馴染み。高島の幼少期を知っている数少ない高島浩介の友人。だからこそ愛美と草刈はお互い口に出した事はないが、高島に対して共通認識がある。実は案外、イイ奴、なんだと。二人の中ではいつの間にか最低スケベ野郎と化した高島以前の、曖昧ではあるが根は悪人ではない、という所を暗黙知として分かっていた。勿論、幼馴染みゆえの贔屓目もあるが、それでも長い間友人関係を続けていたのは、どこか高島が二人を惹きつける部分があったから、と言える。
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