4月の行事予定 大きな上司と小さな私

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 三十四歳とは思えない体力の持ち主で、休み時間、いつもグラウンドを全力で駆け回っているその姿は、どう見ても二十代。  去年の歓迎会で年齢を聞いて驚いたら、甲賀先生は苦笑いしながら『俺、いつまで経っても若造だと思われるんだよな。この業界では不利だよ』と言っていた。  でも、あれから一年経って、確かに見た目は若くてもこの仕事を十年経験している人であるのがよくわかった。  小学校の中では難しいと言われている高学年の学年主任として、いつもてきぱきと仕事をこなしている。  ただでさえ大変なポジションだというのに、今の甲賀先生はさらに波乱含みの学年経営を任されてしまった。  なぜなら、すったもんだの末に、同じ学年のパートナーが担任未経験の私に決定したのだから! 「お、これこれ! この『新年度の地層』の一番下に埋まってたか、やっぱり」  どうやら、やっと年間行事予定表(仮)が発掘されたらしい。  嬉しそうな声をあげて、甲賀先生がプリントを確認していると、向かい側に座る五学年主任の八木先生が声をかけてきた。
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