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こっちに来る1週間ぐらい前かな、夕方6時ぐらいだったと思う。 アミから、 「もう会える機会がないから、UK(レコード屋)で待ってるから、今から出てきて欲しいちゃ。」って、電話があったんだ。 急いで準備して、ギター1本持って、電車乗って、合いに行った。 その日の彼女は、珍しくメークも薄くて、服装も、普通でね。 「私のおごりやけん、飲みに行かんね?例のテープで十万位持ってるから」って、楽器屋があるビルの地下1の店で、アーリータイムスを飲みながら、話してて、 「置き土産に、このギターやるよ」って、3年位使ってたAriaの青いギターを彼女にあげたんだ。 そしたら、アミが、 「今晩、多分これが最後になるから、何時もの様に、夜通し歩こう。」って。 Sionの”バラ色のちどり足”とか歌いながら、港まで歩いて。 本当にいつもこうだったんだ。飲んで、港まで歩いて、話ししたり、歌ったりしながら、朝までいっ緒にいて、始発で帰るみたいな。 でも、その夜は、運が悪く、雨が降ってきてね。昨日の夜みたいに、冷たい雨がポツポツと。 そしたら、アミが、 「この雨、気持ちよかね。」って、蒸し暑い夜だったから、本当に気持ち良かった。 するとさあ、いきなり大降りに成っちゃって、2人で走って、雨宿りできる所探したんだけど、それもなくてね。そしたら、いきなりアミがラブホテルの前で立ち止まって、 「りょう君、泊まろう。」って。 もう、びしょ濡れだったし、駅まで大分あったから、そうした。 何となく、ラブホテルって、気まずかったんだけど、アミに先にシャワーを使ってもらっ て、自分も濡れた服脱いで、ヒーターの上に掛けて乾かして、バスタオル巻いて、べッドに座ってたんだ。 そしたら、アミ、シャワー室から裸で出てきて、 「エンジェルも、今日子さんも抱いたんだから、私も抱いて欲しいっちゃ。これで、本当にお別れだと思うから、もう、これ以上、我侭言わないから。」って、泣きながら言うんだ。 俺は拒めなかった。 悪い事をしたとは、思ってないけど、その夜の事を考えると、胸が痛いんだ。
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