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9 漂わせて
この世界の
食物連鎖にも加われず
また一人ぼっちになってしまった
同じような姿には未だ出逢えないでいた
彼は身体から
煙を出す事がある
紫色の毒々しい煙を
考え事をすると
紫色は出た
彼が歩いた後には
その煙がその道筋を
少しの時間漂わせる
毒々しい煙も
この世界の空気になり
やがて薄れ消える
彼は自分が歩いた道筋を
振り返る
確かに自分はそこにあった
ただ 時間がたった自分は
消えていた
何事もなかったように
ふと
恐怖心が襲った
消えたい自分と
消えたくない自分が
突然突風が吹いた
紫の煙は少しの時間すら
そこに漂わせてすらもらえず
あっさりと消えてなくなった
その時
消えたくない
煙に意識があるとすれば
きっとそんな乱暴に乱され消え行く事を
望むはずなどない
自分が発する煙に
何かを学んだ彼は
新たに
紫の毒々しい煙を出しながら
歩きだした
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