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11光 背けて
光る粒と大きな丸を見ていたら
燃えるような大きな眩しい光が下から登てきた
あたりが騒がしくなった
自分以外の生き物達が目覚めだした
燃えるような大きな眩しい丸からは
目を背けた
彼は大きな眩しい丸は好きではなかった
彼の目には眩しすぎて
それ以上に
騒がし過ぎて
自分がこの騒がしい世界で一人ぼっちなのが
耐えられなかったから
いっそのこと消えてなくなりたくなった
その時間
彼は動かない
物陰から騒がしい世界を眺めていた
周りがよく見えるほうが
彼は怖かったから
自分が他を見るように
向こうだって自分を見ている
そう思えたから
その時目の前の水溜まりに
粉まみれの
空を飛ぶ生き物が
落ちてきた
不器用に羽を羽ばたかせ
激しく動いていた
粉を水溜まりに落としながら
粉が水溜まりに広がり
波紋が波打っている
激しく激しく
それを彼はじっと見ていた
動きは次第にゆっくりになり
やがて動かなくなった
波紋が穏やかになり
消えた
粉が
空を飛ばなくなった
生き物の回りに漂っていた
彼はじっと見つめて
思った
空を飛んでいて
飛ばなくなった生き物は
眠りについたのだと
彼は死をわかってはいなかった
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