2近づかない気配

1/1
前へ
/26ページ
次へ

2近づかない気配

あてもなく歩く彼 足取りは重く 手がかりもない 自分が 何をするのか 何者なのか 何かの気配はするが それ以上ではない それ以上というのは その気配に近よれば 近よる分だけ遠ざかる 一定の距離で 気配はする 最初から その正体を知ろうとも思わなかった なぜなら向こうも 明かそうとしていないのが わかっていたから どれだけ歩いたか わからなかった 疲れては眠り 朝が来ては歩き 何日も何日もそれを繰り返した 近寄らない気配と一緒に
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加