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2近づかない気配
あてもなく歩く彼
足取りは重く
手がかりもない
自分が
何をするのか
何者なのか
何かの気配はするが
それ以上ではない
それ以上というのは
その気配に近よれば
近よる分だけ遠ざかる
一定の距離で
気配はする
最初から
その正体を知ろうとも思わなかった
なぜなら向こうも
明かそうとしていないのが
わかっていたから
どれだけ歩いたか
わからなかった
疲れては眠り
朝が来ては歩き
何日も何日もそれを繰り返した
近寄らない気配と一緒に
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