3光る粒と大きな丸

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3光る粒と大きな丸

近寄らない気配も 気配を感じなくなった それが当たり前になってしまえば 息をするのと同じ事 彼は自分が わからない事すら 当たり前になりそうになっていた 自分の5本の指を見つめ 動かす 動かす意志がその指に伝わり 思い通りに動く 見ているものが 自分の一部だと認識できる すると欲求なのか 自分のそれ以上を知りたくなる 何かで自分が見れないかと 考えながら 夜空を見上げる 光る粒が夜空に散らばっている ひときわ 大きい丸い光が美しく 彼と彼の周りを照らしていた ふと下を見ると 水面に その光る粒と大きな丸が 空を真似して笑っているように揺れていた 彼はそれを覗きこんだ そこには 揺れる自分が写っていたのだが 見えそうで 見えない そこには 5本の指を動かす者がいた 自分の意思で動かしている これも自分だとわかった 揺れては いたが笑ってはいなかった 自分が 光る粒と大きな丸とは違う事に 気がついた
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