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4飛べない鳥
水面に映るものは
影だけで違和感を感じ
まだ自分の存在自体もあやふやだった
肩を落とし
また宛もなく歩きだす
真っ黒な空のしたの方が
燃えだして赤くなり
とても大きな輝くまん丸が
青色を連れて
山の遥か向こう側から
光る粒と大きな丸を食べながら
上がってくる
きっとこれが
この世界の始まりなのだろう
彼はその事を理解した
彼の中に
朝と夜
光と影
青と黒と赤
少しを知った
知ることは楽しい
もっと知りたくなった
彼の瞳に映る風景は
美しく感じた
足取りは少し早くなっていた
耳をすませば
沢山の音もしていた
水が流れる音
木が風に揺られる音
ふと空を見上げると
何か空を舞っている
チュンチュンチュンチュン
2つの羽を
器用に羽ばたかせた生き物だ
彼の頭上を飛んでいる
彼は手を広げその生き物の真似をしてみた
彼は自分が飛ぶ事が出来ない事が
すぐにわかった
悲しくはあったが
悔しくはなかった
しばらく飛ぶ真似をして遊んだ
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