出会い

10/34
前へ
/34ページ
次へ
なんとか終電に間にあって、家の最寄り駅まで着いた。 駅から歩いて約十五分。 やっと自分の住んでいるマンションにたどり着いた時。 「うわっ!!」 俺は驚いて声を上げた。 何故ならマンションの外階段に、女の子がぐったりとして座り込んでいたからだ。 見るからに体調が悪そうだ。 「あの…」 「…」 声をかけるも反応はない。 生きてる…よな……? こんな夜中にやめてくれよ…。 内心ドキドキしながらもその人に俺は声をかける。 「あの…?大丈夫ですか?」 夜中でも蒸し暑いこの季節。座っていても外にいるだけで体力が奪われてしまう。 「あの…?」 何度声をかけても、相手から応答がない。 どうしたものか…。 「っ…」 どうすればよいか頭を悩ませていると、かすかに彼女の声が聞こえた気がした。 「大丈夫ですか…?」 「寒いっ…」 こんな暑いのに、目の前の女の子は確かに「寒い」と言った。 俺の聞き間違えかとも思ったけど、うずくまって座り込んでる彼女を見ると、嘘をついているようには見えなかった。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加