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急いで走ったけど、やっぱり始業前には間に合わなかった。
教室の扉を開けると、一気にこちらに注目が集まる。
その視線が気まずくて、俺は顔を上げられずに席に座った。
相変わらず、予備校の中は独特の雰囲気がある。
席に着くと、両隣、上下に座る人たちが必死になってノートをとりながら講師の話を聞いている。
いつもなら、俺も同じだ。
授業を聞き漏らさないようにと、ノートにペンを走らせている。
だけど、今日はいまいち身が入らない。
さっき、家に置いてきた女の子のことが気になって仕方ない。
あの後、彼女はちゃんと家に帰れただろうか。
そんなことが頭を埋め尽くして、授業が全く耳に入ってこなかった。
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