12人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はマンションに着くと、真っ先にポストを確認した。
ポストの中を見ると、チラシと混ざって鍵が入っていた。
ふぅー…。その鍵を見て、一つ息を吐く。
彼女がちゃんと自分の家に帰れたんだという安堵と、少し残念な気持ちが入り混じった吐息だ。
昨日、見えたはずの彼女の背中が今日はない。名前も、住んでる場所も、何もかもわからない、全くの他人。
良かったと思う一方で、いまいち心の靄が晴れない。
そんな気持ちを抱いたまま、俺はポストから鍵を取り出して、エレベーターへと乗り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!