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腰を抱き寄せ、首の後ろにもう片方の手を添えて、そっと首筋に触れる。硬そうなそこは、唇で触れるとそれほど筋肉質でもなかった。軽く吸い、肌に薄く印を刻む。明日の朝には消えてしまうような、そんな証だ。
「っ」
くすぐったそうにヒクリと身を震わせたゼロスは、少し驚いたのだろう。息を飲むように喉元が上下する。
「ターゲットに近づいて、こうして落としてしまうのが一番安全な場合もある」
「!」
くつくつと笑い、耳元で囁くように言えばビクリとゼロスの体が跳ねる。そのままフッと息を吹き込めば、逞しい体が震えた。
どうやら耳が弱いらしい。耳朶を柔らかく咥え、口腔で遊べば鼻にかかった息が溢れる。穴の方にも舌をねじ込めば、ブルッと震えた。
「耳が弱いのか?」
「そんな事は!」
「自覚が無かっただけだな」
なおもくつくつと笑い、クラウルは腰に添えた手を前に回し、股ぐらへと触れる。ズボン越しのそこは、軽く芯を持ち始めたようだった。
「!」
「お前が知らないだけで、案外敏感な体をしている。一つずつ、暴こうか?」
少し意地悪に言えば、睨み付ける薄茶色の瞳がある。その瞳が、僅かに濡れていた。
ゾクリと腰に甘く疼く。
自分がこういう事に興奮を感じるなんて、思ってもみなかった。
何せ今まで仕事以外でこうした関係を持った事もなく、誰かに性的興奮を持つ事もなく、恋人など欲しいと思った事もなかったのだ。
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