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ゼロスは呆然と、赤く茹だったような顔で見つめ、睨み付けている。これにはクラウルも困って苦笑した。
「嫌だったのか?」
「…手加減が気に入りません」
「覚悟もできてない奴が、強がるな」
「覚悟は!」
言いかけるゼロスの力の入らない足を割って、クラウルの指は後ろへと伸びる。引き締まって硬い敏感な器官に触れると、ゼロスはグッと目と閉じて息を詰めた。
「…俺を誰だと思っている。これで、暗府の団長だ。お前のその顔は、強がりでしかない。奪われて、散らされて、納得できなければ恐怖であり、傷になる。性急にする理由もないだろ」
ゼロスはなんとも言えない顔をしている。
クラウルは隣に寝転び、抱き寄せた。これだけで十分に癒やされる。昂ぶりが静まっていく。
「…これ一度で、俺は貴方に屈したりはしない」
「あぁ」
「リベンジします」
「待っている」
「……貴方がよがる姿が見たい」
「お前が男気を見せるというなら、やぶさかではない」
「……」
それ以上、ゼロスは何も言わずにクラウルの胸元に鼻を押し当てて顔を隠して黙り込んだ。あまりに可愛いその反応に、クラウルは声を殺して笑う。
なんとも可愛いじゃないか。そして若い。
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