近くにあること(クラウル)

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 美味しく栄養のある料理を提供してくれる、少しストイックな奴だと思っていた。とても色恋など無縁そうだったのだが…そうか…。  だが、なんとなく似合いにも思える。  レイバンは人懐っこい性格で相手を振り回す感じも見受けられる。  一方のジェイクはストイックでどこまでも落ち着いているし、マイペースな奴だ。  二人で丁度いいバランスかもしれない。 「まぁ、分かりづらいですよね」 「表では絡まないからな」 「主に部屋の中での事ですし、元々同室では分かりづらいですね」 「そうだな」  だが同時に、同室でそういう関係になる奴が多いのも事実だ。互いの性格や生活が見えるからだろうな。 「クラウル様は、いらしたことがあるんですか?」 「ん?」 「恋人」  元の正面に戻ったゼロスの瞳が、こちらをジッと見ている。窺うような視線であるのに、あまり興味がなさそうにも見える。話しの流れで聞いている、そんな様子すらあった。 「ない」 「本当に?」 「ずっと仕事ばかりだった。あまり必要だとも思わなかったからな」 「そうですか」  ゼロスはそれ以上聞いてはこなかった。興味をなくしたように表情も変えずいる。  少しは、興味を持ってもらったのかと思った。もう少し何かの感情が見えるかと思った。思わせぶりなゼロスの反応は、ますますクラウルを困惑させた。     
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