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「俺は構いません。なんなら、触れる距離でも」
「ノンケだったんだろ?」
「ですね。でも、抵抗とかはないので」
そんなに簡単な事なのだろうか。それとも周囲がそのような感じだからこそ、考えが変わったのか。それとも、元々が拘りのない性格なのか。
試しに手に触れてみる。まったくなんの抵抗もなく、逆に肩を震わせて笑っていた。
「そんなおっかなびっくり触れなくてもいいですよ」
「だが…」
「…疑い深いですね」
そう言ったかと思えば、ゼロスは伸び上がってクラウルの唇に触れた。あの夜と同じような、触れるだけのキスだった。
「!」
体の内が僅かに熱くなる。それを感じながら、クラウルはゼロスの悪戯っぽい表情を呆然と見ていた。
「俺、一応外泊届出してきましたけれど、どうします?」
悪戯に、挑発的に誘うゼロスを見つめ、クラウルの心臓は僅かに煩く音を立て始めていた。
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