2017年1月10日

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2017年1月10日

この『日記片』は・・・確かに『片』というに相応しく、引きちぎられたような薄汚れた紙片だったが・・・どこにでもある茶封筒に二つ折りにして入れられ、唐突に私の元に郵送されてきた。 まるで『殺人犯の遺書』のようなその内容は、悪戯と思い捨てようとした私の腕に待ったをかけた。 悪戯にしては名状し難いリアルが、そこに漂っていたのだ。 誰が何のために送ってきたのだろうか。 私に恨みを持つ者がいるのだろうか。 結婚してからギャンブルや女性遊びはしていないし、知り合いに殺人犯も自殺者もいないはずだ。 しかし仕事柄、患者に恨まれていても不思議ではない。 だが怨恨だとしても、この『日記片』にどのような悪意が込められているというのか。 私を不安がらせる目的なら、もっとやり様があるだろうし、内容が内容のため警察に届けられる可能性だってある。 宛名はワープロで印刷され、消印は2日前。この付近の郵便局である。 差出人は顔見知りなのかもしれないが、今は誰も思い浮かばない。 経過観察するしかない。
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