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2016年4月1日
万愚節!
おめでとう!世界中の馬鹿達よ!
僕はようやく真理亜を手に入れる。
彼女は僕の目の前で、青白い顔をしながらもまだ生きている。
少し前まで必死に助けを請うて、訳の分からない事を話していたが、今は大人しくなってきたので、こうして日記を書くことができた。
特製の椅子に拘束された彼女の左橈骨動脈には、20Gの留置針が挿入されている。
そこから伸びた透明な点滴ルートは、鈍く光る真っ赤な液体を、足元のガラス製のボトルにチョロチョロと注ぎ混んでいる。
液体はわずかに拍動し、ボトルの壁面を少しだけ曇らせている。
彼女の着ている白のワンピースが、血の赤を引き立たせていた。
彼女の身体から命の雫が絞り出されて行く。
彼女の命が、可哀想な罪が、風に舞う羽毛のように彼女の身体から剥がれ去っていくのがわかった。
僕は右手にエンピツ、左手に点滴ルートにつながったクレンメを握っている。
この小さなプラスチック製のクレンメのチャチな車輪が、彼女の命を握っているとはおかしな話だ。
僕はゆっくりとクレンメを解放していくだろう。
文字通り、命の解放だ。
誕生日おめでとう、マリア
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