2016年3月4日

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2016年3月4日

僕は彼女を殺すことに決めた。 男を殺すことも考えたが、そんなことをしても彼女の気持ちが僕に戻ってくることは二度とない。 それに男には『神』が罰を与えるだろう。 狂えるような苦しみと絶望。 奴には全てを受ける義務があるのだ。 しかし彼女には僕しかいない。 僕がやるしかない。放置しておけば、彼女は再び同じ過ちを犯すに違いない。 ならば、彼女がこれ以上醜くなる前に殺すしかない。そして血は繰り返されるものだ。 血を残してはいけない。 欲がはらんで罪を生み、罪が熟して死を生み出す これは彼女達にとって最善のことなのだ。 殺すなら、相応しい機会と方法を決めなければならない。 まず方法だ。 紐で絞殺する 刃物で刺殺する ビニール袋で窒息死させる 風呂桶の水で溺死させる 薬物で中毒死させる 車で轢き殺す 屋上から突き落とす etc 彼女の美しい容貌を変えることなく、だが自分の犯した過ちに気づくことができる方法はないだろうか。 できればゆっくりと時間がかかる方法がいい。 かなり悩んだが、失血死を選ぶことに決めた。 ヒトの循環血液量は体重の約8%。 その20%以上が無くなるとショック状態となり、40%以上が無くなると死亡する。 方法は簡単だ。 手首の動脈を斬ってもいいが、動脈に点滴の針を刺し、クレンメを挟んでゆっくりと出していく方がよさそうだ。 出血性ショックは不穏、錯乱や無気力などが出てくる。 その間に、彼女は自分の愚かさを悔いるだろう。 僕を騙した愚かな行為を。 血圧を見ながら調整すれば即死することはないだろうし、クレンメで調節しながらゆっくり流しつづければ回路を凝固させてしまうことも防げるだろう。 点滴の針と回路、テープに排液ボトル。 ボトルは血液がよく見えるようにガラス製の物にしよう。 アルコール綿はいい。 どうせ死ぬんだ。 消毒する必要はない。 そして彼女を拘束する道具だ。 猿轡に手枷。 固定する椅子は自作するしかないが、古くなった本革のソファーが利用できそうだ。 起きていては抵抗するだろうから、睡眠薬が必要だ。 手に入れるのはそれ程困難ではないだろう。 実行日はもう決めた。 相応しい日を。
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