2016年2月29日

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2016年2月29日

今日は仕事を休み、彼女の家の前で張り込んだ。 いや正確に言うと、昨日彼女と別れてから、そのまま後をつけた。 彼女が真っ直ぐに自分のマンションに入ったのを確認すると、すぐ前にある公園のベンチに座った。 ここならマンションのエントランスと彼女の部屋のドアが見えるのだ。 向こうからは、植木が邪魔でよく注意しないとわからないだろう。 まだ夜は寒かった。 彼女とデートだったので、オシャレをしたのは失敗だった。 もっと防寒対策をしてくれば良かった。 コートの襟を立ててベンチに座りながら、僕の知らない男が訪ねて来るのをひたすら待った。 23時を回った頃、酔っ払いが二人、僕に絡んできた。 一人は下品なジャンバー姿で、もう一人はスーツ姿だった。 日曜も仕事だったらしい。 間の抜けた声でなにやら話しかけてきたが、僕は無視した。 しかしジャンバー男が図々しく隣に座ってきたので、睨んでから立ち上ると、二人から遠ざかるように公園の出口に向かって歩き出した。 トラブルはゴメンだ。 既に深夜なので、少しぐらいなら目を離しても大丈夫だろう。 そろそろお腹も空いてきた。 それにトイレにも行きたかった。 しかし酔っ払いは、何かを喚きながらしつこく後を追ってきて、公園の出口を出たところで肩を掴まれてしまった。 しかたがない。相手してあげるよ。 僕は二人を路地に誘い込むと、回し蹴りと手刀をそれぞれに叩き込んでやった。 奴らはもんどりうちながら地面に這いつくばった。 僕は体を鍛えるために週3日はジムでトレーニングをしている。 武道を正式に習った訳ではないが、こんな酔っ払いなら、束になってかかって来られても、押し倒されない自信はあった。 鼻骨を骨折したのか、スーツ男は大量の鼻出血をしながら、地べたに這いつくばっていた。 顔を覆った両手の指間から、ドロドロと真っ赤な液体が流れ出ていた。 鈍く光る血液を見ていると、後頭部に痺れるような、なんとも言えない違和感が広がってきた。 不思議な感覚だった。 普段、血液を見ても何も感じないのに。
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