423人が本棚に入れています
本棚に追加
「お疲れさん、どうやった?武者修行。」
「それ東京の友達にも言われた…。散々でした…。」
「ははは!そうか!帰ろっか。今日は鍋やってさ。」
孝雄が明日香の荷物を持ち、駐車場に向かって歩いて行った。
その後ろを明日香と遥香は手を繋いでついて行く。斗真は遥香と手を繋いでいた。
「東京まだ寒い?」
「うん、関西も寒いなぁ。」
「天気予報じゃあ、来週まで寒の戻りで寒いらしいで。」
「ホンマに地球温暖化なん?」
「ホンマそれやな。あ、道雄兄ちゃんいま横須賀やろ?お前、会ってたん?」
「うん、移動になってすぐぐらいに。たまにお義姉さんと希(のぞみ)らにはちょこちょこ会いよったけど。道雄兄ちゃんは忙しいから中々やわ。」
長兄の関口道雄(せきぐち みちお)は海上自衛官で、いまは横須賀に配属となっている。
東京に住んでいた明日香は兄嫁である関口葵(せきぐち あおい)と姪の希(幼稚園年中さん)や楓(かえで。2歳。)に会いに横須賀まで遊びに行ったり、逆に葵たちが明日香の家に遊びに来たりしていた。
時間が合えば兄にも会えるのだが、兄は幹部だ。中々に厳しかった。
「神戸帰るって言うたら希に泣かれた…。」
「寂しいんやろ。明日香、お前助手席乗ってな。」
兄の車はラウンドクルーザーだった。
キャンプや釣りが趣味の兄らしい。
「高いんちゃうん?」
「中古やからそうでもないで。
うわ!阪神高速渋滞してるやん。うわー、どないしよー。」
カーナビを操作しながら、孝雄は溜め息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!