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回り道した所で所要時間は一緒やな…と言うことで、阪神高速から帰ることになった。
遥香と斗真は後部座席で、いま幼稚園児と小学生に人気のアニメを真剣に見ている。
名神高速に入り、車の流れは順調だった。
孝雄がカーナビで見ていた通り、阪神高速3号神戸線に入った辺りから車は増え、ノロノロと走っている。
「はぁー…何分で抜けるかなぁ。」
「俺が我慢出来んようなったら途中で降りるわ。」
「うん。そういやさ、アパートのメンバーって結構変わった?」
「変わったと言えば変わったけどなぁ。萬代先生と椎名さんはおるやろー?あと、ヨーコさんもおるなぁ。あ!あと中国人のあの子!」
「シェンメイ?へー、まだおるんやー。まぁ、ウチ駅からちょっと離れてるけど、商店街あるしスーパーあるし、病院も近いしで立地は良いと思うもん。」
「萬代先生も言いよったわ。無駄に税金掛かる分譲マンションより賃貸の方が楽って。」
「へぇー…。早く会いたいなぁ。」
「オカンが全員に"来れるんやったらおいで"って誘ってたから、会えるんちゃうか?」
ふと、後ろがやたらと静かになっているので、振り向いてみると、遥香と斗真は仲良く寝ていた。
「あー、あかん。完全に止まった…。」
前方の車がハザードを付けていた。
孝雄もハザードを付け、後方の車に止まるように知らせる。
「どうしよ。武庫川で降りるかぁ?」
「ホンマは何処で降りるん?」
「魚崎か摩耶辺りがええんやけどなぁ…。流れ見て考えるわ。」
缶コーヒーを飲む兄の横顔を見て、明日香も缶コーヒーを飲む。すっかり温くなっていた。
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