ただいま

5/6
427人が本棚に入れています
本棚に追加
/287ページ
渋滞は相変わらず続いた。本来なら1時間あれば新大阪から神戸は行けるルートなのだが、土曜日の上に春休みが重なっているため、時刻は新大阪を出てから1時間近く経過していた。 孝雄がすぐ先の尼崎出口で降りようか考えていると、斗真が起きて"喉が乾いた"と言い始めた。 明日香が新大阪駅で買ったペットボトルのお茶を斗真に渡すと、斗真は半分以上飲み干してしまった。 更に遥香が起きて"トイレに行きたい"と訴えてきた。 明日香が我慢出来るか訊ねると、そんな急ぎじゃないけど、行けるなら行きたいと言い出したので、孝雄が尼崎出口で高速を降り、近くのコンビニへトイレのついでに休憩をした。 孝雄が少し離れた所でタバコを吸っていると、母から連絡があった。 どれぐらいで着くか?との確認だった。 阪神高速の渋滞がひどいから、尼崎でおりて今は遥香と斗真にトイレに行かせた事を伝える。 「じゃあ後1時間ぐらい?」 「そんぐらいやな。」 「えーっといま5時前やから6時ぐらいになんのか。まぁ鍋もそんぐらいから作るようにするし。あんた今日は泊まるん?」 「いや、帰るわ。送っていかなあかんし。」 「そうやねぇ。今度は泊まりにおいでよ。」 「あー。」 「おじちゃーん!行こう!」 「うん。じゃあな、オカン。」 通話を切り、ポケットに入れたままの車のキーを取り出す。 遥香がスキップしながら車に乗る。 その後ろを明日香と斗真は手を繋ぎながら追いかける。 「明日香ねえちゃん今日は僕と一緒に寝てね!」 「おばちゃんな、斗真…。」 最初の方こそ警戒していた斗真だが、すっかり明日香に懐いている様子だ。
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!