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渋滞は相変わらず続いた。本来なら1時間あれば新大阪から神戸は行けるルートなのだが、土曜日の上に春休みが重なっているため、時刻は新大阪を出てから1時間近く経過していた。
孝雄がすぐ先の尼崎出口で降りようか考えていると、斗真が起きて"喉が乾いた"と言い始めた。
明日香が新大阪駅で買ったペットボトルのお茶を斗真に渡すと、斗真は半分以上飲み干してしまった。
更に遥香が起きて"トイレに行きたい"と訴えてきた。
明日香が我慢出来るか訊ねると、そんな急ぎじゃないけど、行けるなら行きたいと言い出したので、孝雄が尼崎出口で高速を降り、近くのコンビニへトイレのついでに休憩をした。
孝雄が少し離れた所でタバコを吸っていると、母から連絡があった。
どれぐらいで着くか?との確認だった。
阪神高速の渋滞がひどいから、尼崎でおりて今は遥香と斗真にトイレに行かせた事を伝える。
「じゃあ後1時間ぐらい?」
「そんぐらいやな。」
「えーっといま5時前やから6時ぐらいになんのか。まぁ鍋もそんぐらいから作るようにするし。あんた今日は泊まるん?」
「いや、帰るわ。送っていかなあかんし。」
「そうやねぇ。今度は泊まりにおいでよ。」
「あー。」
「おじちゃーん!行こう!」
「うん。じゃあな、オカン。」
通話を切り、ポケットに入れたままの車のキーを取り出す。
遥香がスキップしながら車に乗る。
その後ろを明日香と斗真は手を繋ぎながら追いかける。
「明日香ねえちゃん今日は僕と一緒に寝てね!」
「おばちゃんな、斗真…。」
最初の方こそ警戒していた斗真だが、すっかり明日香に懐いている様子だ。
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