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山手幹線はまだスムーズに車が流れている、とナビの機械的な声を聞き、孝雄は車を走らせた。
16時前に新大阪を出て、神戸に辿り着いたのは18時をとうに過ぎていた。
兄は近くの駐車場に車を停めに行ったので、先に家へ入る。
ああ、久しぶりやなぁ。帰って来たんや。
「「ただいまー!」」
遥香と斗真が元気よく声を出した。
すると母がやって来た。
「お帰りー。ご苦労さん、早よ手ぇ洗っといで。」
遥香は斗真を連れてパタパタと洗面台へ向かった。
「お帰り明日香。疲れたやろう?」
「………ただいま。」
何故だか分からないが、涙が出てきた。
「あらあら〜。」
母の声は電話でずっと聞いていたはずなのに。
これが実家の効力か?
気付けば、玄関で声を上げて泣いていた。
ああ、帰ってきたんだ、神戸に。
明日香の泣き声に気付いた遥香と斗真は心配そうな顔をして、母の後ろから見ていた。
それから車を停めに行っていた兄、休日出勤していた姉が帰って来て、ギョッとされた。
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