兄の彼女

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小さい頃のように、姉の涼香が明日香の鼻をかんでやった。 手を洗い、リビングに行くと、ジーパンに黒のTシャツの出で立ちのイケメンと、ストレートの黒髪を後ろに1つに纏めたアジアンビューティが鍋の準備をしていた。 「アスカー!!久しぶりやん!!お帰りー!」 アジアンビューティーがリビングに入ってきた明日香に気付き、駆け寄って来た。 関口ハイツの住人である王神美(ワン シェンメイ)だ。 「シェンメイ久しぶりぃ、ただいまー。」 中国人のシェンメイだが、幼少から日本で育っているので、訛りがない。 「東京の話聞かせてな!」 そしてテンションが高い。 「順ちゃーん!何かお手伝いするよー!」 「あ、じゃあさ。お箸並べよっか。」 「はーい!!」 「順ちゃん、明日香ねえちゃんやで!」 斗真に手を引かれて、イケメンが明日香の側までやって来た。 "おばちゃんやで"と先ほどから訂正しているのだが、もう無理だろう。 「初めまして、201号室の横山順一です。」 「関口明日香です。よろしくお願いします。」 えらい顔がいい人やなぁ。とぼんやりと見惚れてしまった。 「順ちゃん、ちょっと窓開けよっか。籠ってきてるわ。」 涼香に頼まれ、順一はリビングのドアを開けようとしているのだが……。 「涼香さん!開かないんですけど!?」 1人で焦っている順一に、明日香は静かに告げた。 「……あの、鍵締まったまんまです。」 もしかしてこの人、天然?
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