兄の彼女

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それから父が帰って来て早速嫌味を言われたが、母が炬燵が置かれている和室に押し込んだ。 「鍋3つって多くない?」 「人数多いからそうでもないよ。それに3つとも味が違うもん。」 明日香も台所で手伝いをしていると、今更だが鍋が3つもあることに気付いた。 姉曰く、遥香と斗真もおるし、孝雄は今日は呑まへんやろうけど、どうせお父さんと他は呑むやろうし、ということで、母と姉特性の味噌鍋と悠理が作った塩レモン鶏鍋、それから豆乳鍋を用意した、という。 味噌鍋は昔から関口家で食べられていて、マイルドな味付けになっているので、子供でも食べやすい。明日香の"お袋の味"といえば、この母が作ってくれる味噌鍋だ。 「彩子先生と椎名さんは遅れるって言うてるし。ヨーコさんともう1人はそろそろ帰って来るわ。」 「新しい人入ったん?」 「あんたから見たら新しい人やな。2階にイングランド人の大学の先生と3階に新婚さん、4階にホテルマンと博物館の学芸員の人がおるよ。ヨーコさんと一緒に来る人が学芸員の人。」 「へぇー。変わってないようで変わってるんやね。」 「イングランド人はいま帰国してるから。それと新婚さんは奥さんとこの法事で埼玉帰ってていまいてへんし、ホテルマンの人は今日は仕事で来られへんって。あんた今度挨拶しときや?」 「うん、お姉ちゃん、味噌鍋こんなもんでええの?」 「うん、遥香ー、斗真ー。明日香おばちゃん今から鍋持って行くから離れときよー!」 「「はーい!」」
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