管理人さんしたら?

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神戸に帰ってきて、なんやかんやしていたら3週間が過ぎようとしていた。 うわ、あっという間に1カ月過ぎるやん!と焦った。 会社から離職票が届いたので、職安に行って失業手当の申請したり、家事したり、アパートの清掃や出来るメンテナンスしたり、たまーに両親がやっているコスモスの手伝いをしに行ったり(お小遣いはくれた。)、職安行って、転職活動してみたりしていた。 この3週間で、アパートの住人たちの顔も覚えた。 3階に住む高田夫妻、隆平が"音羽龍"というラノベ時代からずっと読んでいた、好きな小説家だったのでテンションが上がった。 初めて会った時、ヒップホップやってんのかと思った。(ヒップホップは好きらしい。) 奥さんの可也さんは、出版社勤務で漫画部門を担当していて、言える範囲で色々と教えてくれる。 オタクやってて良かった…と思った。 ホテルマンで4階に住む蓬莱さんは、帰ってきて次の日に挨拶した。 やっぱりホテルマンって常に見られる仕事している人は若いなぁ…なんて思っていたが、休みの日に遭遇した時、どちら様ですか?と声を掛けてしまった。 もう完全にその辺のおっさん。 最後にロイ・マーチン。これがやたら顔が良い大男。見上げないと喋れない。地味に首が痛い。 大学の英語講師だと聞いていたが、日本語(関西弁)がペラペラ過ぎてビビった。何でも母方のおばあちゃんが大阪出身らしく、日本語(関西弁)には馴染みが深かった、と言っていた。 「明日香。」 アパートの前を掃除していると、後ろから声を掛けられた。 振り返ると、幼馴染みの佐賀里菜生が買い物袋を下げていた。 側には菜生の娘で遥香と同級生である美波(みなみ)と双子の弟である栄介(えいすけ)がいた。 「ナナちゃん、お帰り。」 「明日香ちゃん、遥香と斗真は?」 男女の双子なのに、美波と栄介はよく似ている。生まれた時からずっと一緒だからかな? 「日曜やからコスモスにおると思う。家には居らんかったし。」 「分かった〜。」 「お母さん、コスモス行ってくる〜!」 双子は手を握って、商店街の方へ走って行った。 「今日は掃除してるってことは、転職活動上手くいってへんの?」 「うん…まぁ。前のことがあって中々…。」 「そんな無理せんでもええんとちゃう?」 「うーん、そうやねんけど。でも実家おってそういう訳には行かへんかなぁ。」 集めたゴミを袋に入れ、それの口を閉じる。
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