423人が本棚に入れています
本棚に追加
神戸に帰ってきて、なんやかんやしていたら3週間が過ぎようとしていた。
うわ、あっという間に1カ月過ぎるやん!と焦った。
会社から離職票が届いたので、職安に行って失業手当の申請したり、家事したり、アパートの清掃や出来るメンテナンスしたり、たまーに両親がやっているコスモスの手伝いをしに行ったり(お小遣いはくれた。)、職安行って、転職活動してみたりしていた。
この3週間で、アパートの住人たちの顔も覚えた。
3階に住む高田夫妻、隆平が"音羽龍"というラノベ時代からずっと読んでいた、好きな小説家だったのでテンションが上がった。
初めて会った時、ヒップホップやってんのかと思った。(ヒップホップは好きらしい。)
奥さんの可也さんは、出版社勤務で漫画部門を担当していて、言える範囲で色々と教えてくれる。
オタクやってて良かった…と思った。
ホテルマンで4階に住む蓬莱さんは、帰ってきて次の日に挨拶した。
やっぱりホテルマンって常に見られる仕事している人は若いなぁ…なんて思っていたが、休みの日に遭遇した時、どちら様ですか?と声を掛けてしまった。
もう完全にその辺のおっさん。
最後にロイ・マーチン。これがやたら顔が良い大男。見上げないと喋れない。地味に首が痛い。
大学の英語講師だと聞いていたが、日本語(関西弁)がペラペラ過ぎてビビった。何でも母方のおばあちゃんが大阪出身らしく、日本語(関西弁)には馴染みが深かった、と言っていた。
「明日香。」
アパートの前を掃除していると、後ろから声を掛けられた。
振り返ると、幼馴染みの佐賀里菜生が買い物袋を下げていた。
側には菜生の娘で遥香と同級生である美波(みなみ)と双子の弟である栄介(えいすけ)がいた。
「ナナちゃん、お帰り。」
「明日香ちゃん、遥香と斗真は?」
男女の双子なのに、美波と栄介はよく似ている。生まれた時からずっと一緒だからかな?
「日曜やからコスモスにおると思う。家には居らんかったし。」
「分かった〜。」
「お母さん、コスモス行ってくる〜!」
双子は手を握って、商店街の方へ走って行った。
「今日は掃除してるってことは、転職活動上手くいってへんの?」
「うん…まぁ。前のことがあって中々…。」
「そんな無理せんでもええんとちゃう?」
「うーん、そうやねんけど。でも実家おってそういう訳には行かへんかなぁ。」
集めたゴミを袋に入れ、それの口を閉じる。
最初のコメントを投稿しよう!