素麺って便利だけど、量が多いと消費に困る

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1階の大家さんの部屋に入り、リビングに入ると涼しかった。 「ごめんなー、クーラー付けたばっかやからまだ暑いやろー?」 わざわざクーラーを付けてくれたらしい。 「ウチ1階やん?あんま風通しよくなくてさ。もう無理やわ。夏本番が心配やけど、そんなん言うてられへんで。今日、暑いもん。」 素麺を湯掻きながら、明日香は首から掛けているタオルで額の汗を拭った。 それから手際良く素麺をざるに上げ、皿に盛り付けていった。 「はい、どうぞ。この間見たドラマでやっててん。これやったら食べれると思う。」 下の方に素麺、その上には角切りのトマトと細切りにされたきゅうり、ゴマがたっぷり絡んだ大葉やミョウガ、生姜の千切りが乗っけてあった。その上から麺つゆを掛けてある。 「へぇー…なんかサラダみたい。」 「ツナマヨも乗っけてるから味に飽きがないよ。夜中のドラマやねんけどさー。飯テロやわ、あの時間帯にするのって。食べよっか。」 「へぇー…今度見てみよっかな。じゃあ……頂きます。」 明日香とお昼を食べてから、食後のお茶まで一緒にした。 「明日香さん今、宅建の勉強してるんですかー。」 「うん、社長がこれからも管理人するんやったらやっぱり必要になってくるやろうって。ほら、お父さんもお母さんもいつまでも元気とは限らんしさー。」 明日香は先週から、大輔の紹介で建築士の事務所で事務のパートを始めた。 そこの建築士が、この関口ハイツのリフォームを担当した建築士だったようだ。(明日香も後々に知ったらしい。) 「大将は100歳まであのまんまの様な気がするなぁ。」 「それは分かる〜。でも飯田さんとこの大先生みたいなことも考えられるやん。お父さんも人間やもん。いつガタが来るか分からへんしさー。」 「そんなもんなんかなぁ。」 「それより順ちゃん、スマホ鳴ってるで。」 机に置きっぱなしにしているスマホのディスプレイを見ると"チヒロ"と表示されていた。幼馴染みからだった。 明日香に一言断ってから電話に出る。
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