幼馴染みが連れてきた奴は、目を見張る美青年。

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明日香からチーズケーキを受け取り、順一は自分の部屋に戻った。 熱気が篭ってて暑い。 電気代が…なんて言ってられない。 クーラーを付けて、チーズケーキを冷蔵庫に入れる。 紅茶を用意していた方がいいかな?と思い、キッチンの棚を開けると、ティーパックの紅茶を発見した。賞味期限を見ると、まだまだ先だったので、薬缶でお湯を沸かす。 その間、簡単に床掃除をし、カメラをバックにしまいこんだ。 チヒロから連絡があって丁度1時間後ぐらいに、インターフォンが鳴った。 玄関の鍵を開けると、そこにはほんのり茶髪の長身でやたらと顔の良い男と中性的な顔をした人物が立っていた。背格好からして男だと言うのは分かったが、パッと見では性別の判断が難しい、まだ少年のようなあどけなさが垣間見える青年だった。 「久しぶりやな、順一。ごめんな急に。」 「いや、全然。上がってや、暑いやろ?えーっと…。」 「三澤忍(みさわ しのぶ)です。はじめまして、急にすみません。」 三澤忍と名乗った美青年は深々と順一に頭を下げた。 チヒロと忍に暑いから早く入るよう即し、再び玄関の鍵を閉める。 「適当に座っててや。お茶淹れるわ。」 その言葉にチヒロがギョッとした顔をする。 俺ももう立派な社会人やぞ、失礼な…と思いながら、順一は3人分のお茶と明日香から貰ったチーズケーキを切り分けた。 「はい、まぁ茶でも飲みながら…。」 お茶とケーキを其々の前に置き、順一は2人の向かい側に座る。 「ありがとう…。チーズケーキやん。」 「ここの管理人さんの貰い物やねん。困ってたし折角やから貰ってん。これなー、関西じゃ北海道物産展とかでしか手に入らんようなヤツやねんて。」 「へー、美味そうやな。俺チーズケーキ好きやし。忍、折角やから。」 「はい、頂きます。」 フォークで一口に切り分け、口に運ぶ。 チヒロの顔はほんわりととろけ、忍はじっと皿の上のチーズケーキを見つめた。 「うん!美味い!!チーズが濃厚。甘さ控えめやけど、チーズの濃厚さがよう分かる!」 「……美味しいです。一瞬で口の中に溶けましたね…。いや、とろけた…。すごく美味しい。」 「なぁ……チヒロ、今日はどないしたん?」 「あんな……。順一、忍を暫くここに置いてくれへんか?」 目を見開く順一に、チヒロは事の経緯を説明した。
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