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No.7 凪瀬夜霧
奴隷商がのたうっている間に、鎖に繋がれたエルフの少女はその腰から鍵束を奪い取り、自らの鎖を外した。
そして、ありったけの力で街中を駆け出し、やがて空の見える場所まで来た。
『自由をやろう、私の恩人よ』
少女に乗り移った老人はそう呟き、ありったけの声で咆吼を上げた。
その声は遙か遠くの仲間にまで届く。
かつての王の呼び声に、空を埋め尽くさんばかりのドラゴンが押し寄せる。
少女はその一体の背に乗って、遙か彼方にある静かな森まで飛んで行った。
やがて、少女は苔むした川縁の草地で目を覚ました。
町での事が全て夢に思える。突如意識を失ったかと思えば、深い森の中にいたのだから。
「ここ…」
『ここは太古の森。ドラゴンが住む森だよ』
上半身を起こして呟いた少女にそう優しく語りかけたのは、まだ若いドラゴンだった。
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