やうやう広くなりゆく生え際 少し明かりて

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「よーしっ!! 乾杯しましょうっ!! 」 麗ちゃん……じゃなくて、ツトムくんが栓を開けると、中から勢いよく吹き出たピンドンが、私たちに祝福の雨を降らせた。 ーーなんて素敵な夜だろう! みんな誰しも、秘密にしたいコンプレックスを抱えてる。 コンプレックスはエゴのかたまり。 人からしたら本当にバカみたいで大したことなくっても、本人にとっては時に死にたくなるくらい重大な欠点。 だからみんな、自分だからこそ愛せないような欠点を受け入れてくれる人を、探し求めているのかもしれない。 少しでも、自分のことを愛したいから。 それ以上に、相手のことを愛したいから。 互いのすべてを愛し合いたいから。 なーんて、シャンパンの雨に濡れて、いつもより広めに見えた部長の額がライトに照らされるのを見て、かの有名な『枕草子』の冒頭もじりのインスピレーションを受けながら、私は、部長の髪質に合う育毛剤をグーグル先生に質問することで頭がいっぱいだった。 ーーよし。これからは毎月部長のために育毛剤をプレゼントしよう! 『オモジョ』の思いやりは、プライスレスです。 『優しく包んで持ち上げて ーオモジョな私と俺様上司の恋模様ー』 めでたし めでたし ご要望があれば特典を書くかもです……
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