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『オモジョ』な私
別れの前の呼びかけは、いつも大概決まっている。
「あのさ……」
私の久々に出来た恋人、宏樹もやっぱり同じだ。
「なぁに?」
「まぁ……とりあえず、座って」
「……オムライス、できたよ?」
「いいから、座って?」
「うん、わかった……」
目を見ない彼。
私の鼻は、瞬時に別れの匂いを察知した。
「……あのさ」
「……うん」
あぁ、いやだ。この空気。この沈黙。
最近、どことなく冷たくなっていく、この空気を感じていた。
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