田崎真琴の場合

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役者になる夢も、諦めきれずにいた。 オーディションも、受けまくって 何が足りないのか、何が悪いのか 他の演者を、見て、頭の中では ボロクソに毒づいていたが、たまたま 隣にいた、高校生くらいの男の子が 話しかけてきた。 緊張しますね。見た目は、爽やかな 今風な感じがしたが、いざ、自己紹介を し始めたら、爽やかな少年の雰囲気(ふんいき)は、消えていた。 質問や即興的な演技も、うまくて 圧倒されてしまった。 この時初めて、自分の演技が、下手なことに、気づいた。 自分の番が、回って来たけど、 立ち尽くしていた。 ようやく出た言葉は、自己紹介というより、 ようやく自分の足りないものが、わかったことや、今のままでは、無理なことを 話して、一礼をして、部屋を出た。 役者の夢は、諦めようと思った。 とりあえず、働こうと思った。 そして、出会ったんだ。 運命だったのかもしれない。
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