16人が本棚に入れています
本棚に追加
「......姫はさ、高野のこと好きなの?」
「 ......え?高野くん!?なんで??」
「だって、その席を譲れないってことは、そういうことじゃないの?」
「......へ??」
......あー。この席、高野くんの席だったんだね...。知らなかったよ。
あれれ?さっきから少し不機嫌だったのは、眠気と疲れだけが原因じゃなくて、嫉妬心も原因でしたか!?...なんて調子乗っちゃってごめんなさい......。
「桜木くん、見当違いも甚だしいよ」
誤解されたままじゃダメだと思った私は、占いの件を桜木くんに話した。ただし、”恋愛運がアップするんだって”ーーのところは、”願い事が叶うんだって”ーーと言い換えて。
『ふーん。好きなやついるんだ』と言われてしまったら、『はい。あなたです』とは言わないものの、桜木くんを意識しすぎるあまり顔を赤らめてしまい、『あー、俺のことだな』ってバレると自信を持って言える!!
「あのさー、余計なこと言うけど、その日の占いはその日しか効力ないんだと思うけど?」
「そうなのかな。だけど、念押し的な感覚で続けてるのです...」
「そっか。ま、いいかもな。がんばれ」
「うん。がんばる」
『姫。俺を好きになれよ』ーーーー
あの言葉が本心だという確証はない。ネガティブな私は、どうしてもあの言葉が本心なのだと信じることができない。
私を起こすために、一か八かで言い放った言葉だった可能性もある。だがあの時、万が一私が起きてしまったら、桜木くんはどう言い訳したのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!