『ハジメ』だよ!!

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健太が来たけど、どうにも顔を上げる気になれない。 先生に小突かれて起きた俺は、神の事を思い出したからだ。 あれから一切、そっちは見てない。 授業の間中、ヤツからの視線を感じてたからだ。 王子、何処かに行ってくれないかなぁ…。 もう見てないよな? 落ちつかん!! なんてグズグズ考えていれば、健太が俺の染めていない髪の毛を弄び始める。 ヤメイッ! 手で振り払うけど、直ぐに触ってくる。 鬱陶しいなぁ、もうっ! 「おーい、どうした?起きろ~!」 今は起きたくないんだよ!ってか、王子はもう居ないかな? なんか視線慣れしてないから居心地悪いんだよね…って、髪の毛をクルクルさせるのやめろっ! 無言で抵抗していると、健太の手が離れていたった。 が、 「おーい、起きて~モエくーん!!起きろ、モエ!!」 「ハジメだよ!!」 俺はガバッと勢いよく起き上がると、即座に訂正した。 例のお笑い芸人のお約束ネタっぽく訂正した。 この健太とのやり取りも、お約束になりつつある。 俺の名前は、七瀬 ハジメ…萌と書いて『ハジメ』と読む。 モエでは、ない。決してな。 この可愛い女の子みたいな漢字を使ったオタクな両親を恨みます…おのれっ!!
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