モブだよ、モブ!

2/2
前へ
/89ページ
次へ
クラスが同じになってから一度も話したこともなければ、目が合うこともなく。 そして俺も『王子とかいうあだ名スゲェ』位にしか思ってなかったから意識もそこまでしてなかった。 だけど王子はやっぱり王子で、毎日何かしら話題を持っていく。 自然とクラス全体の空気に流されて、つい視界には入れてしまっていた。 それは一方的なモノであって、相互ではない関係。 それが今日、視線が合って絡まっていたという事実が、平凡な俺の脳を活性化するには充分だったらしい。 なんか一時的な勘違いを興した自分が恥ずかしい。 なんかちょっと、非日常を味わって高揚していたんだ。 平凡には、特別な時間に思えてたらしい。 とはいえ、相手にはいつものことで。 決して大したことではなかったらしいけど。 平凡ってこんなもんだよな…。 「はあっ…」 溜め息も出るってもんだ。 神の存在が大きすぎて、俺はその主人公の放つ光のせいで生まれた陰に生きてるモブだよ、モブ! 陰険? 暗い?フンッ!たまには卑屈にもならせてくれよ! 平凡の宿命を背負った俺は、溜め息をついて神の事を脳の隅へと追いやった。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

219人が本棚に入れています
本棚に追加