一の侍女 あやめの話

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意気揚々と江の御方へ橘の小枝をお渡ししたときに周囲にいた女房たちからあがった嬌声と、江の御方の困ったような、ほんのりと上気した匂いやかな笑い顔を今も忘れることはできない。江の御方は笑みをたたえたお顔のまま、 「まあ。このような……軽々しくこのようなもの受け取ってはなりませぬよ」 と厳しいお言葉とは逆の、お優しい笑顔で髪をゆるゆると撫でてくれた。
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