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 さり……  導師が小刀(ちいさがたな)を女の半白になった髪に入れると、周囲の女たちのすすり泣きの声がいっそう高まった。  女はその声が聞こえるのか聞こえないのか、彼女を見おろす丈六(じょうろく)の仏と同じような、静かな顔で、導師に全てを委ねきって座っていた。座っているように見えた。
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