貴方という人

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日向 雪 それが想いの人の名前 中学生2年生の時に知り合った素直な男の子だった 背は小さくやや幼い顔立ちに高い声 髪色は真っ黒で小さな頑張り屋さん それが一番最初の印象だった 特別仲良くは無かった 3年生はクラスが分かれ、交流も殆ど無くなった 廊下で会えば挨拶を交わすぐらい 『こんにちは 霧島さん』 とにこりと笑みを浮かべて 好意を持ったのは12月末 図書室で勉強していた時だった 放課後の図書室で1人で勉強するのが日課だった そこに彼がやってきた 慌てた表情で胸を抑えながら。 私は反射的に隠れていた 机の下に しかし彼は誰もいないと思っていたのか 扉に背を預けながら言葉を放った 『まだ いける 僕ならいける だから耐えて...』 苦しそうに呼吸をしながらずるずるとずり落ちていく 私は飛び出せなかった 側に駆け寄れなかった ただ彼を机の下から眺める事しか 突然酸素を求めるような激しい呼吸が止まる と同時に彼は静かになった 不思議で堪らない ふと好奇心で彼に寄り添ってみる 「ひな...た君?」 反応はない 驚かれるか と思ったが身体はピクリとも反応を示さない まるで寝たように 流石にここで寝るのはよくない せめて保健室で と自らの肩に彼を乗せる 「か 軽すぎる...」 ほんとに男か というレベルだった 確かに私より身長は低いがここまで軽いとも思わず お陰で保健室には苦なく着いた 扉をあけるとそこにはちゃんと見知った人が座っていた 「やぁ 真緒ちゃん 彼氏を連れてくるとはませてんなぁ」 私の従姉妹 霧島 優希先生が顔をにやけさせながら
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