第二話 子供

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『腹減った。食いもんおくれ腹減った。食いもんおくれ、おらたちにも食いもんおくれ、おらたち貰ってない、食いもん貰ってない、食いもん、食いもん、おらたちおくれ』  ガリガリに痩せた骨と皮だけの細い腕を前に上げて久保田に近付く、 「おううぅー! 」  間近に見た久保田が息を呑んで呻きを上げる。  骨と皮ばかりのガリガリの体、腹だけが水の入った風船のように膨らんでいる。血色の無い土気色のその顔、かさかさに乾いた唇から黄色い涎を垂らし落ち窪んだ眼孔の中に白目の無い赤黒い目玉がギョロりと久保田を見ていた。 『食いもんおくれ、おらたちにも食いもんおくれ、食いもん、食いもん...... 』  3匹が壊れた機械のように繰り返す。  久保田がポケットを探るがもう飴玉1つ無い、風が吹いて木々が揺れ月明かりが射す。  明かりの中に小さな祠が見えた。 「わかった。お前らにもやる。じゃから貰うたら帰れ、消えろよ、約束じゃぞ」  祠に供えた菓子を思い出しバケモノに言うとゆっくりと歩き出した。  祠の前で久保田の動きが止まる。供えた菓子が食い散らかされて無くなっていた。 『食いもん、食いもん、食いもんおくれ、おらたちに食いもんおくれ、約束じゃぞ、食いもん、食いもんおくれ、食いもんクレ、約束じゃぞ、食いもんクレ、食いもんクレ 』  後ろで3匹がオウムのような声で繰り返す。     
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