第1章

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 ステージでは、 ハナレグミの「きみはぼくのともだち」を 五十過ぎても まだフリーターのおじさんが歌っている。  私の計算外だったのが、 意外とライブハウスの お客の年齢層が高かった事だ。 同世代のミュージシャンも居るには居るが、 半数以下だった。 紹介してくれた先輩が、 「新入生に安全な職場」 って事で気を利かせてくれた結果、 私を娘の様に扱ってくれる おじさんやおばさんのお客さんが多い このライブハウスになったらしい。 それは、それでありがたい話だけれども、 彼を探すのにはマイナスかな? と思った。 そんな調子で 大学生活も半年程過ぎて行ってたけれど、 さすがに生活は大きく変化していたので、 忙しかった。  合間を縫って、 駅前や河原町の周辺で ストリートライブをやっている人を 見つけては、 「彼を知らない?」 って尋ねた。 ライブハウスでも、 全国を廻ってるミュージシャンには、 片づけを手伝いながら尋ねた。 にもかかわらず、 彼の手掛かりは何もなかった。
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