第1章

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 四条河原町駅前で、 ストリートライブの場所が取れたのは 久しぶりだった。 いつの間にか 自分がライブをやるようになって 二年が過ぎていた。 周りは皆就職活動をしていて、 早い者は既に就職先も決まったと言うのに、 未にバイトとライブに明け暮れていた。 今日も五時過ぎから始めて、 二時間位は、やっている。 もう辺りはすっかり日が暮れていた。 河川敷に咲いた桜のせいなのか、 桜の歌のリクエストばかりが来て、 ずっと歌っている。 流石に、 コブクロから直太朗辺りを二周目に入ると、 自分の方が飽きて来て 他の曲を弾きたくなる。 まだ酔っ払いこそ居ない時間だけれども、 このまま最後まで 桜の歌を歌う羽目になるかもしれない。 そう考えていた時にふと、 彼の曲を歌ってみたくなった。
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