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「咲川さん、上司たちに言われまくって。やる気なくしていたから。出会った頃はもっと、キラキラしてましたよ」  そうだったかな。柳瀬くんと初めて会った時って、どんなことを話したんだっけ? 「自己紹介」  柳瀬くんがわたしにヒントをくれる。 『自己紹介くらいでビビってどうするの?』  そうか。あの時わたしはやる気満々で、誰からも頼りにされるような人になって、会社でもバリバリ働きたいって思っていたんだっけ。  柳瀬くんとは研修の時に出会った。初日の自己紹介くらいで緊張してて、逆にわたしの緊張が吹き飛んだんだよね。 『まだ時間あるし、少しは体力つけときなよ』 『珈琲、唐揚げ棒、バナナ? すごいチョイスですね』 『嫌い?』 『好きです。ありがとうございます』  あれ?  わたし、柳瀬くんに今日同じことされたの? 最初から、わたしを元気づけようとしてくれていたの?  もしかして、さっきのあれも。わたしをわざと怒らせたってこと?
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