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話が変な方向にいってしまった。何を争っているんだろう。
それに、こんなに柳瀬くんと話したのは初めてだ。無口なはずの柳瀬くんが今日は饒舌。
「本当に大丈夫。わたしは辞めない。でも転職くらいは考えるかもね」
少しだけ本音をもらす。いつもみたいに愚痴を言えない雰囲気で、だから元気だってことをアピールするだけにとどまる。
「ねえ、そろそろ解放してくれないかな」
壁ドンならぬ桜ドンの状態のままで、さすがに窮屈になってきた。そもそもなぜ、わたしは桜ドンをされているんだろう。
「咲川さん、俺を利用しませんか?」
「ん……んん?」
「ですから、利用」
「いきなりの下僕発言に戸惑いを隠せないんだけど?」
「違います」
柳瀬くんがまさかのジョークを言ったのかと思ったけど、そうではないらしい。
「短大卒って事実は変わらないです」
「うん、知ってる」
今度はディスり始めたのか?
さすがに愚痴を言いまくるわたしが嫌いになってきたかな。味方がいなくなった?
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